「私もその残念な事件をよく覚えている。被害者の女性の家族は亡くなり、トラウマのせいで病気になった人もいたようだ。男子生徒たちは法では処罰を受けなかったから、私的な“裁判”で罰を受けているということは個人的にはすっきりする。しかし、彼らの顔と個人情報を暴露したことは法律的には問題だ。ユーチューバーたちは自らが裁判官であるかのように勘違いしているのではないか。もしくは再生回数を増やすためにやっているのではないか」

 事件の加害者らの一部は、暴露したユーチューバーたちを名誉毀損の疑いで告訴した。そして7月23日、その捜査に動きがあったことを韓国の三大新聞の一つ、東亜日報が報じている。

ユーチューブの運営者らを在宅起訴

 報道によると、慶南警察庁が同月22日、ユーチューブチャンネルの運営者(38)やブロガーら計8人を在宅起訴したと明らかにした。8人は、事件被害者たちの同意なしに、今年6月から自分たちのユーチューブチャンネルとブログなどに、事件の加害者の実名と写真などの個人情報を投稿した疑いがもたれている。

 事件の被害者が公開を望まない私生活などが知らされる二次被害に遭ったり、加害者ではないのに加害者と名指しされたりした例もあった。また、送検された8人のなかには、加害者の身元を先に公開した「奈落保管所」の運営者は含まれていなかったという。

 知人のIさん(50)はこの事件について、

「ユーチューバーたちは、被害者の女性たちが再び取りざたされることを考えていないのではないでしょうか。自分たちの金儲けのためにやっているようにも見えます。被害者をまた苦しめることにつながりかねないです」

 と話した。韓国の多くの人たちが心を痛めるのは、Iさんが語るように、「被害者は加害者とユーチューバーたちによって2回目の被害に遭っている」ということだ。加害者はもちろん、ユーチューバーを擁護する雰囲気はもうない。

ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)

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