これまで菜々緒は緻密に役作りをしてきており、クールな見た目で中身はポンコツというギャップを今回、どう演じるのか楽しみだ。

菜々緒が役者として大切にしていること

「MANTANWEB」(2021年7月25日配信)では、「TOKYO MER」で演じた敏腕看護師の役作りについて、仕事ができる看護師は研修医のサポートまでしっかりできると聞き、医療監修の先生方には細かく教えてもらったと告白。また、手術のシーンでは主人公に器械出しをするため、どこに手を置いたら受け取りやすいかなど、主演の鈴木亮平と一つ一つの動きを相談しながら進行。さらに、マスクを着けたシーンも多く、目や眉の動きだけで感情を表現するため、まばたきの回数など細かいところまで意識しながら演じていたという。

「そういった目に見えて分かる部分だけでなく、内面的な役作りもしっかりしていますよね。役者としていちばん大切にしていることについて、キャラクターの心情や置かれている環境なども含めてキャラクターを理解して愛してあげることと、以前インタビューで答えていたのも印象的。また、自分の中にあるものしか演じられないという思いがあり、自分の中で理解できるところを理解して役に寄り添い、撮影期間中はその役として生きていくという気持ちでカメラの前に立っているとも語っていました。このように、役作りは感情など内的な部分も、身体的な行動といった外的な部分もしっかり取り組んでいることが伺えます。なので、無能キャラもそうした役作り次第では説得力のあるものになると思います」(同)

 一方で、「意外に無能キャラもハマるのでは」と話すのは民放ドラマ制作スタッフだ。

「以前、休日の過ごし方について、引きこもりで完全にインドア派だと明かしていたことがあるんです。撮影期間中は休暇でも体のメンテナンスなどで、休みが休みでなくなるそうですが、仕事がない日は家から一歩も出たくないという感じで、ベッドの上から全く動かず、好きなものを食べたり飲んだりすることもあるとか。意外ですが、そんなところを見ると、菜々緒の中にも今回演じる無能キャラのマインドに共感できる部分はあるでしょう。そこに緻密な役作りが加われば、無能キャラでもピッタリとハマるかもしれません」

 芸能評論家の三杉武氏は菜々緒は今回のドラマについてこう述べる。

「『ファーストクラス』やブレイクのキッカケとなった『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』での悪女役が評価され、以降クールビューティーな役が人気ですが、一方で2017年放送のドラマ『ボク、運命の人です。』では愛されキャラのヒロインの親友を演じたり、2019年放送のドラマ『4分間のマリーゴールド』では心優しい天真爛漫なヒロインを好演したりと、実は多彩な役を演じているのです。4年前、『テセウスの船』で霜降り明星のせいやさんが黒幕の犯人役を演じて“意外すぎる”と話題になったように、菜々緒さんも今回のドラマでギャップの大きさを見せつけてほしいですね。どのようにポンコツぶりを演じるのか非常に楽しみです」

 仕事ができる強い女性役を演じることが多かった菜々緒にとって、新境地を開く役柄になるか、注目したい。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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