投資の基本はリスク分散であり、景気や地政学リスクに対して反応の違う資産を組み合わせることが重要です。そのため、我が家では家族それぞれで保有している資産が重ならないように、資産運用のための家族会議を開催することがあります。その際、私は家族にゴールド(金)投資の可能性について話をすることがあります。家族からは「紙幣は、共同幻想で成り立つ紙切れと批判したいのはわかる。でもゴールドだって同じじゃないか! しかも、ゴールドなんて金利がつかない!」と批判されます(笑)。そして、これがまさにゴールド投資に否定的な人の代表的な意見でもあります。今回は金利がつかない、でも伝統的にリスク分散のためにゴールド投資が行われてきた背景について考察していきます。
製造原価は20円
共同幻想とは、紙幣のことをみんながお金と思っているからお金であり続けられることを指します(ちなみに、1万円の製造原価は20円ほどとも言われています)。ゴールドも、多くの人が価値があると信じているから、価値があるものとみなされています。紙幣とゴールドの歴史を見ると、後者のほうが人類の歴史において長く価値あるものとみなされ続けてきました。理由は、紙幣は特定の国の政治や経済環境に大きく左右されるものの、ゴールドはそのような影響は薄いことです。貨幣においては、一国の中央銀行が金融政策で紙幣を大量にばら撒いて、貨幣価値を下げるということは可能です。しかし、ゴールドは埋蔵量が決まっており、そのようなことはできません。