ハラミちゃんのお気に入り曲フォルダは…

 都庁での出来事をきっかけに、「ポップスピアニスト」を名乗って活動を始めました。クラシックやジャズは歴史が長いし演奏の場所もたくさん用意されているけど、ポップスの曲をカバーするピアニストは、いわゆる「弾いてみた」系のネットカルチャーとともに育ってきたと思っています。みんなそれぞれ、演奏を動画で発信して楽しんでいたけど、自分はそれを職業にさせていただいた感じですね。

――ポップスピアニストになった今、クラシックに親しむ時間はありますか?

 仕事上、弾くのはポップスばっかりですけど、聴くほうはクラシックの曲もけっこうありますよ。マレイ・ペライアとか、好きなピアニストさんのアルバムをリピートして聴いたりします。やっぱりクラシックは小さい時から触れてきたので、落ち着くんです。

 音楽を聴くのはお散歩中とか移動中が多いです。私はポップスを聴くのもクラシックを聴くのもまったく同じ感覚なので、「こういうときはクラシックを聴きたくなる」みたいなのはないんですよね。お気に入りの曲を集めたフォルダーには、クラシックもポップスもジャズもメタルも、いろんなジャンルの曲がバーっと入ってます。

 ピアノを始めたころから、クラシックに対してはどの曲も素敵だなっていうピュアな気持ちだったんですけど、小学校でクラシックを弾いても人は集まらないんですよね。でも、ディズニーとかジブリの曲を弾くと、学年をまたいでワーっと人が集まる。みんなにとっては、クラシックとポップスって差があるんだなっていうのは感じていました。

 まあでも、それは単純に、知らないからですよね。ディズニーとかジブリは映画で観るけど、クラシックってピアノや楽器を習っていないとなかなか接点を見つけづらいと思うんです。

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クラシックと“推し活”