「私に会いに来てくれてありがとう」を伝える

 大切なアポイントメントの前には、最低限の準備を行い、自分の立場や役割に対する高い意識を持って臨むという人は読者の方の中にも多いでしょうし、先ほどのような、仰天するような事例は他人事に感じる方もいらっしゃると思いますが、念のため、人と会う前に何が必要かについて整理してみましょう。

 それでは、まず会う前に、以下のふたつの準備を行います。

1.感謝の言葉を用意する

 相手が自分と会うためにどのくらい移動(時間や距離、移動手段の手間など)し、準備し、時間を作ることに労力を使ってくれたのかを算出し具体的に想像する。

 その上で、相手があなたに会うまでの過程をイメージし、その状況を引用しながら言葉に出して感謝を伝える。

 以下に、いくつか例を挙げます。

「電車の乗り継ぎが多かったでしょう。それにもかかわらず、今日はありがとうございます」
「渋滞がひどかったでしょうに、お越しくださりありがとうございます」
「昨日まで、出張で大阪にいらしたみたいですね。ご多忙の中、お時間を作ってくださり本当に感謝です」
「先週まで、展示会があって、社員の皆さんも早朝から大変だったと思いますが、これだけの資料を準備してくださり、今日はありがとうございます」

質問したいことを3つ以上考えておく

2.関心の言葉を準備する

 それまでの相手とのやり取りや、会社や個人のSNSなどの情報をリサーチし、「過去」「現在」「近い未来」という時制ごとの情報を把握しておく。

 たとえば、「前回、お会いしたときに、趣味で釣りを始めたと話していたけれど、その後、どうなっただろう?」「会社の公式サイトの社員紹介のプロフィールによると、Aさんは福岡県出身で、学生時代は大学まで陸上をしていたと記載があるが、厳しい練習に耐えてこられて、勝負の世界に生きてきた人なのだろう」「銀行員として10年勤務し、会計事務所に転職して会計士の資格を取得して会計事務所を開業されているのか。目標を持って着実にキャリアを歩んできた人なのだろう」「趣味は洋画鑑賞とあるから、好きな映画や、最近観た映画について聞いてみよう」「既にAI関連のスタートアップ企業との関わりがあるみたいだから、具体的な展望を質問してみよう」など、情報から人物像をイメージし、実際に質問したいことを3つ以上は、準備しておく。

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