ロシア極東アムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地で握手する北朝鮮の金正恩総書記(左)とロシアのプーチン大統領=2023年9月13日(写真:ロイター/アフロ)
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 プーチン大統領と金正恩総書記が会談した。両国接近の背景には中国からの支援引き出しという共通の思惑がある。AERA 2023年10月9日号より。

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 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記が9月、約4年半ぶりに会談し、軍事協力の可能性がとりざたされている。韓国政府当局者は会談について「中国を脅して支援を得るための、プーチンと金正恩による共同作品だ」と語る。打算だけで結びついた二人の関係だが、事態の展開によっては東アジアの安全保障に深刻な影を落とすことになるかもしれない。

 ロシア(旧ソ連)は、金日成氏を首班に据えた北朝鮮を生み出した。朝鮮戦争では戦闘機や戦車を支援し、戦後は東欧諸国とともに荒廃した北朝鮮の国土を再建した。金日成氏が当時、「わが国はネジ一本までソ連製だ」と嘆いたほどだ。

 北朝鮮の製鋼所や発電所などの重要インフラや兵器などは、現在に至るまでほぼ旧ソ連製で占められている。

 ただ、第2次大戦直後、北朝鮮に進駐したソ連軍兵士は強盗や強姦なども働いた。当時を知る脱北者の一人は「朝鮮人はロシア人をロスケと呼び、憎んだ」と語る。1991年のソ連崩壊後は、支援も急減した。韓国の統計によれば、北朝鮮の対外貿易でロシアが占める割合は1%もない。

 一方、ロシアも北朝鮮から裏切られ続けた。ソ連が有償援助をしても、北朝鮮はほとんど返済しなかった。金正日総書記時代の末期、対ロシア債務の9割を免除してもらったが、ロシアにとっての北朝鮮は魅力的な交易相手ではない。プーチン氏は2019年の前回首脳会談では、正恩氏が提案した北朝鮮産の水産物や鉱物の輸入に関心を示さなかった。

朝ロの共通の思惑

 決定的だったのが1993年の北朝鮮による核不拡散条約(NPT)脱退宣言だった。ロシアは研究用小型原子炉を提供するなど、北朝鮮の原子力の平和利用を支援してきた。ロシア外務省関係者は当時、日本政府関係者に対して「我々はとんでもない国を作ってしまった」と語り、嘆いた。ロシアは近年、北朝鮮に軍事兵器の支援をしてこなかった。

「信頼も共通の価値観もない関係」(韓国の金塾・元国連大使)の両国が接近した背景には、「中国から更に支援を引き出したい」という共通の思惑がある。

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