AERA　2023年9月25日号

　本人に問うと、「覚えとるよ」と笑った。「いや、俺、猿に『ごめん！　ケガない？』って、不意に出てんけど、放送終わってから、みんなの反応見るじゃん？（笑）。え、普通じゃね？って思ったん。けど、これがやさしいってなるんや、って」。咄嗟に、人どころか猿の気持ちまで思いやるのも彼にとっては「当たり前！」のことなのだ。

　ちなみに昨年は、ヤギにも謝っていた。「ヤギのときはちょっと意識しちゃったかもしれん（笑）。やからな、やさしさって汚れていくのよ。悪いこころだよ（笑）」

　自分をよく見せようとは決してしないのも、自戒するためなのかもしれない。

そんな向井に、再びモードのセリフにちなんで、「人生でいちばん大事」なものを尋ねると、いたずらっぽく頬を緩めた。

「ま、普通のアイドルなら、ここでファンと言うだろうが（笑）、それは言わない！　俺に関わる、すべての人だ！」

　やはり、途轍もない愛の人だった。（編集部・伏見美雪）

※AERA　2023年9月25日号

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