佐藤B作さん率いる劇団・東京ヴォードヴィルショーの50周年公演に、伊東四朗さんが出演する。作品は三谷幸喜さんが31歳のときに書いた戯曲「その場しのぎの男たち」。10年ぶりの出演となるが、伊藤博文を演じる伊東さんが喜劇に込めた思いとは?
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今回のインタビューと撮影は、伊東さんが吉田照美さんと一緒にパーソナリティーを担当する生放送のラジオ「親父・熱愛(オヤジパッション)」の収録前に、文化放送で行われた。土曜の昼、ラジオブースのあるフロアは活気にあふれていて、伊東さんも、大勢のスタッフとにこやかに談笑する。
「コロナ禍ではリモートでやったりもしていたんですが、ラジオはやっぱり生がいいです。言っちゃいけない言葉なんかもあるから、毎回緊張はしますし、年をとって、目とか耳とか、体のいろんな機能が衰えていっているのは、自分でもわかります。人様はもっとわかってるのかなと思うと、その辺が一番怖い。最近は新聞を読んでいても、小学生にさかのぼっちゃってることがあって。ちょっと画数の多い漢字なんかを見ると、『書けるかな?』って思って、空中に指で書いてみることが増えましたね。新聞読むのは楽しみなんですけど、最近は、途中から紙面がぼんやりしてきちゃう。でもなんかわくわくするんです、新聞って」
■何も残らない喜劇が好き
スマホは持っているが、検索に使ったことはない。何か思い出せないことがあると、意地でも思い出せるように努力する。
「昨夜は、布団に入ってから、好きな百人一首の一首が出てこなくて、それでちょっと寝らんなくなっちゃった(笑)。寝る前ってのは、いろんなことが頭の中に浮かんできちゃう。案外、無になるってことができない時間で、私の場合は、昼間のほうが無になれます。百人一首は、小中学生のときは読み手をやっていたんです。息子と海外旅行の番組で、あちこち行ってるとき、飛行機での移動中に一度覚えなおしたことがあって。昔覚えたものは、きっかけがあれば思い出せるはずですが、昨夜は苦戦しました(笑)」