
登下校時や塾への行き帰りなどに小学生が誘拐される事件が後を絶たない。安全のために子どもに携帯電話を持たせている親も少なくないだろう。しかし、安全のために持たせた携帯によって、詐欺などの有害サイトに接続して犯罪に巻き込まれたり、更には掲示板でのいじめなどに悪用されたりする可能性もあるのだ。だからこそ、小学生の子どもに携帯電話を持たせるべきか、それとも持たせるべきでないか、長らく議論されてきた。
そこで、モバイルインターネット業界での各種調査を行うMMD研究所が、7月末から8月にかけて、20~49歳までの全国1万1千人の母親を対象に「小学生の子供が携帯電話を持つことについて」の調査を行った。
まず小学生が携帯電話を持つことに対する賛否については、「賛成」が12.5%、「やや賛成」が37.1%、「やや反対」が32.9%、「反対」が16.5%という結果となった。「賛成」と「やや賛成」の合計は49.6%、「やや反対」と「反対」の合計は49.4%で、賛成派・反対派の両者は全体的にほぼ拮抗しているといえる。
続いて携帯電話の所有率は、昨年の同様の調査に比べ9.4%上昇し51.3%となり、全体の半数を上回ったことが分かった。学年別では、1年生が26.9%、2年生が32.6%、3年生が41.6%、4年生が38.4%、5年生が46.9%、6年生が48.4%で、概ね学年が上がるにつれて所有率が高くなっている。
持っている端末の種類については、6年生以外は「子ども用携帯電話」が最も多かったという。特に1年生では48.6%、2年生では55.7%、3年生では52.1%で、半数程度を占めた。一方、「スマートフォン」を所有している小学生は、割合が最も多かった6年生では30.4%、最も少なかった3年生では19.7%となった。また、「子ども向けスマートフォン」を所有している小学生はどの学年でも4%未満にとどまった。
子どもに携帯電話を所有させている母親でも、インターネットサイトを見ることができない「子ども向け携帯電話」を所有させている率が高く、このことから、出来る限り安全な方法で持たせようとしている母親が多いと考えられる。
09年には文部科学省が、小学校への携帯電話の持ち込みは原則禁止する通達を出している。小学生の携帯電話所有の賛否について現在もなお意見が割れているなか、今後は、子どもだけでなく保護者にも情報モラル教育が必要であり、フィルタリング機能などについてのIT関連知識がより一層求められていくことだろう。