「手は洗ったの? 洗ってね」。散歩中のわんこや、地域猫、ペットショップの子をよしよしすると、夫から飛んでくる言葉。わかっているけど、そんなに神経質に言わなくても……。
そんな夫が変わったのは、4年前、「見るだけ」とオープンしたてのペットショップへ行ってから。
夫は、触るのはキビシイけど動物嫌いではなく、犬や猫やウサギの品種までわかる人で、この日も子ウサギのケージにべったり。
「もう、子犬・子猫を見て帰ろうよ」と言ったものの、オープン初日の人出ではぐれてしまいました。
店員さんと話す夫の背中を見つけて近寄ると、夫の手の中に子猫が。「マンチカン」という短足猫で、私も生で見るのは初めて。
以前から短足好きで、犬ならコーギー、猫ならマンチカンと言っていた夫。その手の中でマンチカンがすやすや眠っていたのです。
でも、珍しいうえ人気のため、結構なお値段。「一度帰って考えよう」と私が言うと、子猫が突然起きて夫の手にすがりつき、大きな声で「にゃああ」。こうして猫に選ばれた夫。いえ、猫の一声に負けた夫です。
夫にメイプルと名付けられた子猫(写真)は、何度か踏まれたほど夫の足元をちょろちょろ付いて回り、お風呂では出待ち。そんなふうだから、スーツにべったり毛が付いてても、嬉しげに粘着ローラーでコロコロ。猫砂を踏んでも、「こんなとこまで飛んでたね」。
お気に入りのバッグに粗相をされても、大事なソファで爪とぎされても、壁紙がボロボロになっても、しょうがないなぁの一言です。
一番驚いたのは、夫が彼女を撫でながらお菓子を食べていたこと。ちょっと不条理を感じながらも、メイプルと鼻チューする夫を見ると、私もしょうがないなぁと思ってしまうのでした。
(高澤直子さん 新潟県/41歳/主婦)
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