「人生うまくいかないのはママのせい」と思ってしまったアラサー独身女性への「母親からの独立のすすめ」が本書のテーマだ。著者は女性や若者を支援するキャリアカウンセラー二人。子育て中の女性や、結婚を考えている男性にも発見がある。
 就職したら「どうしてそんなに仕事が大変なの? 辞めちゃえば?」。適齢期になると「あなたの年にはもう、ママはあなたを産んでたわよ」。筋の通らない母の助言に振り回される娘。女性の生き方が変わり、専業主婦が当たり前の世代と、女性も働く世代との間で、価値観に溝ができたのだ。だからこそ、母と距離を置いて自分の価値観に従って生き、自力で幸せを見つけようと説く。恋愛、結婚、仕事、家族関係の局面ごとに母と娘のすれ違いを指摘し、「娘を保護する」という母親役に解雇通知を渡すことを勧める。
 解雇された母の行く末は? 娘を見守りつつ、自分の幸せを追えばよい。娘が幸せな姿を見せて親離れするのが、最大の親孝行なのだ。すべての人に優しい眼差しを向けた本だ。

週刊朝日 2013年12月6日号