営業先やアルバイト先で、こんなクレームを言われたことはありませんか?



「あんたのせいなんだから責任取りなさいよ!」

「これくらいサービスするのが常識だろ!」

「追加の費用がかかるなんて聞いてないぞ!」

「いいから今すぐ侘びに来い!」



「お客様は神様です」という言葉がありますが、自分勝手でわがままで理不尽な事を言うお客さんは、本当に神様なのでしょうか。お客さんからのクレームを、営業の武器に変えるテクニックを紹介しているのが書籍『あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか? 「クレーマーに潰される!」と思った時に読む本』です。



本書の著者は、営業コンサルタントの菊原智明氏。今でこそ、全国の営業の経営者や営業マンにアドバイスする立場にありますが、7年間にもおよぶクビ寸前の「売り上げビリのダメ営業マン」時代がありました。



ダメな住宅営業マン時代の菊原氏を最も苦しめていたのは、契約が取れないことでも、上司に怒られることでも、同僚や後輩に下に見られることでもなく、「お客様からのクレーム」。メールで豹変する、すぐ怒鳴りつける、営業マンを使い走りだと思っている、お金に細かすぎる...などのクレーマーに「人間をやめたくなるほど」苦しんだとのことです。



ある日、ストレスで気が狂いそうになり、自暴自棄を起こした菊原氏。お客さんが契約しないように仕向けようと考え、自社製品にクレームがついたことを伝えます。すると、お客さんは目論見に反し、「貴重な情報を教えていただいて、ありがとうございます!」と菊原氏に感謝を伝えたのだそうです。



お客さんに信頼されるのは、商品を売るために嘘をつくのではなく、過去の失敗例やクレームなどの悪い面をさらけ出せる営業マン。そのことに気づいた菊原氏は、一転トップ営業マンへの変身を果たしていきます。



クレームを発生させる一番の原因は、「営業マンの油断、甘え、そして逃げ」であると言う菊原氏。理不尽であろうと横暴であろうと、弱点を的確に指摘してくれるクレーマーこそが、「最高のコンサルタント」であると言い切ります。



遭遇したクレーマーの実例を短編小説のように語りつつ、失敗から学んだ解決策や、あらゆる人間関係に通底するコミュニケーションの本質を描いています。本書を読み終える頃には、クレーマーに悩んでいる方も、きっと「クレーマーこそ、神様です」と思えることでしょう。