心臓の音“心音”から制作した新曲「end and and ~10,000 hearts~」も話題の大塚 愛。彼女が2014年の音楽活動において限界を感じていたこと、それをスタッフやファンの愛によって乗り越えたエピソードはご存知だろうか?
<どこを切り取っても“これぞ大塚 愛”と興奮せずにはいられない>
大塚 愛は、昨年末に【AIO PIANO vol.2】なるピアノ弾き語りワンマンライブを台湾公演含む各地で開催。彼女の生歌と生音を一切取りこぼすことなく堪能できるライブとなっており、その包容力溢れる音楽に満員の観客は酔いしれた。痒いところに手が届くセットリスト、かつて「歌に感情を込められなくなったら辞めるとき」と語っていたことを思い出させたエモーション、そして想定の真逆をひた走る異端児ぶり(ピアノ弾き語りワンマンライブを銘打ちながら、アンコールではエレクトロモード全開のアレンジを施した新曲や「ユメクイ」「さくらんぼ」等を連発した)。どこを切り取っても“これぞ大塚 愛”と興奮せずにはいられない、振り切れたライブを繰り広げていく。
<仕事を降りなきゃいけないかもしれないなと、これはもしかしたら「2014年、完」かなと思ったぐらい大変だった>
そんなステージ上では絶好調な彼女だったが、東京国際フォーラム ホール公演のMCでは“音楽活動に限界を感じていた”という想定外の心情吐露。「今年も本当に皆さん、ありがとうございました。プライベート的にもお母さん的なことをしながらになってきてですね、いろんなところで皆さんの力を借りないと、音楽と両立させるのは無理だなと本当に身に沁みてですね……特に後半、アルバムやツアーで本当に体調を崩しまくりまして。これはどうしたものかなと思うぐらい、この半年間ぐらいずっと薬も飲んでいて。普通に生活する分にはそんなに薬なんて飲まなくたって治るのを待ってればいいんですけど、歌をうたうってことはちゃんとした健康状態じゃないとダメで。体調を崩して、薬で治してっていうのを繰り返して、正直「これは両立ムリなんじゃないかな」と思って、仕事を降りなきゃいけないかもしれないなと、これはもしかしたら「2014年、完」かなと思ったぐらい大変だったんですけど、本当に良いスタッフの方たちに助けられてですね、こうやってライブもできるような素晴らしい環境を作ってくれていまして、スタッフの皆さんと、何よりこうして来てくれる皆さんに本当に感謝しています。ありがとうございます!」
<新曲/未発表曲たちは“更なる変革”を感じさせるものばかり>
11年間の活動の中でここまで大塚 愛がネガティブな自分を露わにしたことはなかった。ゆえにその苦しみは大変なものだったと想像できるが、彼女の音楽を絶やしてはならない。彼女にはベストな環境で音楽を生み出してほしい。そうした想いがスタッフを奮い立たせことは間違いなく、2014年の精力的な活動を成立させたのだろう。そしていつ何時も大塚 愛を、大塚 愛の音楽を待ち続けているファンの存在が、何度でも彼女を奮い立たせてきたのだろう。
そんな周囲の愛の力に支えられて2014年を必死に駆け抜けてきた彼女だけに、2015年に打ち出されるであろう新曲たちへの期待値は高い。少なくとも【AIO PIANO vol.2】で披露された新曲/未発表曲たちは“更なる変革”を感じさせるものばかりで、これが音源化されて発信されたときに世に与える衝撃は計り知れない。まだリリース情報などは発表されていないものの、大塚 愛の次なるアクションに対しては楽しみしかなく、その時を“心音”の鼓動と共にじっと待っていたいと思う。
取材&テキスト:平賀哲雄