マスターベーション自体に問題はなにもないし、回数だって気にする必要はありません。ただ、不適切な方法で行うと、男性の不妊症の原因につながることもあります。ですから、正しい方法を知っておくことはとても大切なのです。

「彼に、『キスはまだ嫌だ』と言ってもいいと聞いてほっとしました」といった感想もありました。「嫌だ」と拒否することで、好きな相手に嫌われてしまうのではないか、とがまんしていたのでしょうね。私は、おつき合いの場面で「嫌なものはイヤ!とはっきり伝えるべきだし、それを聞いてくれない相手なら、別れて正解!」といつも話しています。このあとどうするかは彼女しだいですが、「自分を大切にする」ことに気づくきっかけになればと思います。

「コンドームをつけなくても、外に射精すれば妊娠しない」なんて話も絶対にウソ! 「もし妊娠したらどうするか、そこまでちゃんと話し合える関係が理想だよね」とも伝えています。すると、心なしか子どもたちの表情が引き締まります。

 こんなふうに、もうなんでも知っているように見えるけれど、実は情報に翻弄されて、正しい知識がわからずに不安を抱えている子どもたちは、とても多いと感じています。そして、心配です。

●正しい性の知識は「ライフスキル」。自分の身を守る大切な能力!

 ティーンズ世代は、からだも心もまだまだ成長中。生活面では行動範囲もどんどん広がり、好きな人ができておつき合いが始まったりして、性行為におよぶこともあるでしょう。すると、妊娠のしくみや避妊の方法……など、この世代こそ、正しい性の知識が生きる、実際に使う場面が登場してくるのです。

 たとえば、今、「梅毒」の感染者数が増加しています。性感染症は、どういう経路で感染するのか、どうすれば予防できるのか、どんな症状なのか。もし感染してしまったら、どこで診てもらえばいいのか……。

 性感染症にまつわる知識は、中学生の保健体育の教科書にも掲載があります。でも、中学生ならまだまだひと事です。しかし、ほんの数年先に、自分がそのような場面に遭遇することがあるかもしれません。そんなときに「ああ、あのとき先生が話していたことだ」と思い出してくれたら、そして知識があったら、冷静な対処ができるでしょう。

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