今回、島の一部はどのような経緯で購入されたのか。

 不動産登記簿をさかのぼってみると、水産業の企業組合A社(沖縄県)が所有していたのを、2012年に水産加工業などを手がけるB社(東京都千代田区)が購入し、B社から今回のY社に売却されている。

 B社の役員で那覇市在住の奥茂治さんに話を聞いた。

「手つかずで本当にきれいな島です。今風にいうと、インスタ映えするというか。SNSに写真をアップするとたくさんの『いいね』がつきます」

 所有権を持っていたA社は、問題が起きて企業組合は解散。次のB社はA社の関係者らで新たに設立した会社だという。

「一時、横浜市にある広告関連の会社が興味を示して価格を提示してきていました。ただ、交渉はうまく進まず、そのうちB社の社長らが多額の借金をすることになり……。そうした状況にあるなか、東京の上場会社だという触れ込みでY社がきたのです」

 さまざまな経緯を経て、結果的にB社はY社に売却することになったというのだ。

 AERAdot.が入手した「不動産譲渡契約書(屋那覇島)」には、

「本件不動産譲渡の対価は3億5千万円」

 などと記されている。

「売買交渉の中で、信用できる会社なのだと思いました」

 と奥さんは話す。

 一方、土地を買い取ったY社とは、どんな会社で、どのような目的で購入したのか。

 会社のホームページのトップページを見ると、会社名のほか事業内容として「不動産投資及びリゾート開発」「中国ビジネスコンサルティング」とある。

「直近では沖縄県の屋那覇島取得して現在リゾート開発計画を進めております」(原文ママ)

 と屋那覇島の件にも触れている。

 法人登記簿を確認すると、会社成立は1968(昭和43)年。目的は、不動産、知的所有権、商業デザイン、冠婚葬祭、金融、政治・政策、投資、飲食、電気通信、出版、物流、古物売買、人材派遣、個人・企業調査……に関連するすべてなどで、計52の業務が書かれている。

 ホームページに電話番号は載っていないため、直接話を聞きにY社の本店に向かうと――。

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