今もっとも大きな問題となっているのが、汚染水から大部分の放射性物質を除去した「処理水」だ。7年前、安倍晋三首相が東京五輪・パラリンピックの招致演説で「アンダーコントロール(管理下にある)」と胸を張ってアピールした汚染水やその処理水は、減るどころか、いまなおたまり続けている。
敷地内をバスで移動すると大量のタンク群が現れた。処理水を入れた貯蔵タンクで、その数約1千基。総量は約118万トン(1月現在)に上る。しかも、今も汚染水は1日約170トン発生している。タンクは増え続け、東電の試算では22年夏には保管場所がなくなる。
他にも課題は山積している。最難関の燃料デブリの取り出しは、いまだ全体像がつかめず取り出し技術も確立されていない。廃炉によって生じる廃棄物の処分の問題も残る。廃炉作業は、ゴールが見えないまま手探りが続く。(編集部・野村昌二)
※AERA 2020年3月2日号