ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 年金の話を続けると際限がないので、一度この辺で締めておきましょう。金融庁のマッチポンプぶりにはあきれてものも言えませんが、一つだけ彼らの擁護をしておくと、年金制度そのものに国民の誤解があるのではないでしょうか。私が個人的にびっくりしたのは、多くの方が日本の年金制度を「定年退職後、遊んで暮らせる生活を支える制度」と理解していることでした。そんなばかな!!

 私の理解では日本の年金制度というのはあくまでもフルに働けなくなった生活を「補助する」ものです。59歳の私自身それで準備してきましたし、いろいろ経験してみると月に20万円ももらえるならいくらでも生きていけるという実感があります。

 しかし今回、多くの方の反応は「話が違う!!」という類いでした。いやいや、話が違うのはあなたでしょう、と厚生労働省や金融庁じゃなくても言いたくなります。一体いつからこんな話になっちゃったんでしょうかね。

 もし本当に老後悠々自適に過ごしたいのなら、比較的恵まれていた私の年代でさえ20代の時点で決断をしなければならないのは明らかでした。普通のサラリーマンをやり、会社の年金制度を見ていれば、定年退職後それだけで遊んで暮らすのが無理で、そうしたいならそれなりの準備をしなければ無理なことは明々白々でありました。あなた、40年前にわかってたことじゃないですか、と私は言いたい。

 私の同期でも月20万円(!)も貯金をして備える強者、退職後も使えるであろう資格を取る者(実はそのほとんどが無駄になった……笑)、第二の人生を過ごすため生活費の安い国を休みに探し回る者、そして私のように外資系に転職して一発勝負を賭けて逃げ切りを図る者。大体こんなパターンでしょうか。

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