これは、野党が有権者の日々の生活を底上げするような、効果的な経済政策を打ち出せていないからだと考えました。20年間のデフレによって人々の生活がどんどん壊されている。なのに、野党の経済政策から透けて見えるのは、財政再建ありきの緊縮政策。つまり「増税」です。有権者は直感的に、野党に入れれば、自分たちの生活が苦しくなると感じているのです。
──公約の1番目に「消費税廃止」を掲げていますね。
有権者が選挙で投票先を選ぶ時、何を重視するかを考えました。原発や憲法も大事ですが、多くの人は今の生活と直結するテーマで投票先を決める。前回、消費税を5%から8%に増税した時、家計消費は8兆円も落ち込んだ。国民の6割が「生活が苦しい」と言っているのに、安倍政権はさらに消費税を8%から10%に上げると言っている。消費税こそ参院選の争点だと考えています。
──消費税を廃止したら17.8兆円の歳入が吹っ飛ぶ。廃止は可能ですか。
私が総理大臣になったらすぐに廃止しますよ。所得税や法人税の累進性を高める、国債の発行を増やすなど方法はある。ただ、今すぐそこまで駆け上がるのは難しいでしょう。それでも「消費税廃止」と掲げたのは、この公約に支持が集まることが、野党に対する「減税圧力」になると考えているからです。野党は「消費税凍結」を主張していますが、これじゃ話にならない。「増税する」と明言している安倍政権に対し、野党は少なくとも「減税する」と言わないと勝てない。「消費税廃止」と言っている私たちが注目を集め、有権者に支持されたら、「廃止は無理だけど5%ならどうだ」と野党が政策を転換させるかもしれない。それに期待しています。とにかく重要なのは、人々の生活がどんどん壊されている現状を一刻も早く食い止めることです。
(聞き手/編集部・中原一歩、上栗崇)
※AERA 2019年6月24日号より抜粋