チームラボ代表・猪子寿之さん(写真:チームラボ提供)
チームラボ代表・猪子寿之さん(写真:チームラボ提供)

 最新テクノロジーを使った美しい作品が人気のチームラボ代表・猪子寿之さんがAERAに登場。現在の活動にかける思いを語った。

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「いろんなプロジェクトが動いていてね。まだ言えないものも、多いのだけど」

 殺到する展覧会のオファーを受けて、世界を飛び回る日々だという。表紙撮影のこの日も、何時間か前にヨーロッパのとある国から帰国したばかりだ。

「連続する生命を認識しにくい都市のなかに、すべてが連続しているひとつの空間を作りたかった」

 そんな思いを、「チームラボボーダレス」「チームラボ プラネッツ」という東京湾岸の二つの施設で実現させた。この夏にオープン1周年を迎える二つの施設は、今なお連日満員御礼。昨年から今年にかけて全国を回っている嵐のライブ「ARASHI Anniversary Tour 5×20」の一部の演出なども手がける「チームラボ」だが、アート、サイエンス、テクノロジー、エンターテインメント、そして自然までをも巻き込んだ新しい時代の表現として、各分野からますます熱い視線を浴びている。

 コンピューターをツールにしたアートの歴史はけっこう長い。でもこれだけ大々的に展開し、しかも成功させた例は、そうはない。

「レイヤーが積み重なってできている作品だから、いろんな人に届くのかな。『わあ、きれい』みたいなレイヤーもあれば、『レンズとは違った視覚体験は、世界認識をどう変えるか』みたいなレイヤーがあったり」

 世界的企業の創業者や超有名アーティストなどがチームラボに引きつけられ、お忍びではるばる東京のミュージアムを訪れることも珍しくないという。自身もアートが好き。

「誰とか、どの時代とかではなくて、興味があるのはアートを通して、世界の見え方が変わっていくこと」

 観客たちも、「世界の見え方を変える」チームラボの作品に出合えた幸運を噛みしめている、きっと。(ライター・福光恵)

AERA 2019年5月27日号