近重:女性宮家の理由が、「いまいらっしゃる皇室の方々がこのまま残ることがいい」という考えが前提であれば、何の解決にもなりません。悠仁さまがお生まれになる前、小泉政権で設置された「皇室典範に関する有識者会議」が、「女性天皇」「女系天皇」を容認する報告書を出しました。紀子さまの悠仁さまご懐妊に伴い、皇室典範改正案の国会提出は見送られ、それから13年。後継者減少と向き合う皇統の問題は、いまも何も解決されていません。
山下:「女性天皇」「女系天皇」の容認にも、積極的な容認と消極的な容認があるでしょう。消極的に容認していた人たちは、悠仁親王殿下がお生まれになってから、声が小さくなった。
近重:いまの不安定な状況を打開するには、女性・女系を認める必要があると思います。ですから、女性宮家の創設を認めるという議論も成立すると思います。けれども、これまで男系男子を大切にしてきたわけですから、まずは男系男子を優先してゆき、「万が一のために女系も認める」という考え方も、将来的には必要なのかもしれません。
山下:それに、今はまだ「女性」「女系」という選択肢があるから議論ができるんです。現状の制度のままでいるうちに、眞子内親王殿下も佳子内親王殿下も愛子内親王殿下もご結婚され、皇籍を離脱されれば、選択肢がなくなる事態も起こり得ます。
近重:悠仁さまが天皇に即位されたとき、お子様がどうかということも大問題になります。
山下:悠仁親王殿下が結婚されたときに今の内親王、女王方がどなたもいらっしゃらなくても、新しいご夫婦にすべて賭けるのか。お子様が生まれなかったらどうするのか。女の子だけだったらどうするのか。
近重:皇室の存続を願うのであれば、喫緊の課題として考えなければならないと思います。
──世間では一部、「愛子さま天皇論」が盛り上がりを見せているようです。
久能:問題の本質について、積極的な議論が交わされていないのが残念です。「愛子さまか悠仁さまか」といった二者択一の議論には、違和感があります。