

「コンビニ百里の道をゆく」は、48歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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6月7日、中国・上海市周辺の店舗数が1千店を超えました。ローソンが中国初の日系コンビニとして、上海市に進出したのは1996年。日本国内で全国展開する前のことです。現在は上海市を含めた華東地区で12都市に出店し、進出都市数は日系コンビニでは最多となっています。
ただ、中国進出後、紆余曲折がありました。初出店は、当時の親会社だったダイエーが上海に招聘されたことがきっかけでした。その際、ダイエー創業者の中内功さんがローソンでの進出を決断されたと聞いています。その後十数年は、文化、風習の違いや認知度が上がらないなど、非常に苦しい時期が続きました。
そして、約7年前、それまでのパートナーと組んだ事業推進からローソン単独に切り替え、中国事業を改めてやり直すことに決めました。
私はローソンに来てから海外事業本部と開発本部を担当していましたが、海外では将来の拡大に備え、まず2、3年は足腰を鍛えることに集中しました。日本でも店舗数ありきでいきなり大量出店すると、2、3年後に大きく減損することが、ままあります。
店舗経営には、現地のオーナーさん、工場、物流、お店を指導するスーパーバイザー(SV)、立地条件を調べる開発マンなど多くの設備や「人財」が必要です。たとえば、1千店出店しようとすればSVは120人以上必要で、短期間でそれだけの数をそろえるとなれば、SV教育は急ごしらえになり、結果、店舗指導も雑になる。開発マンも同様で、しっかり育成された人財が必要です。
中国事業の経営陣が人財育成を一から見直し、店舗のスクラップ&ビルドを断行してようやく攻める体制が整ってきました。今年は一気呵成に出店することを決め、昨年850店だった上海市の店舗を、500店舗増やす計画です。
1千店舗はその通過点。上海にローソンあり、と言われ愛されるお店づくりを皆としっかりやっていきます。大事な黒字化もすぐそこです。
※AERA 2018年6月25日号

