たむら・こうたろう/シンガポール国立大学兼任教授。1963年鳥取県生まれ。米エール大院修了。元参議院議員(2期)。シンガポール在住。『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)は37万部のベストセラーに。本の詳細ページはこちら(撮影/写真部・小原雄輝)
たむら・こうたろう/シンガポール国立大学兼任教授。1963年鳥取県生まれ。米エール大院修了。元参議院議員(2期)。シンガポール在住。『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)は37万部のベストセラーに。本の詳細ページはこちら(撮影/写真部・小原雄輝)
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「むやみに戦うべからず」

 そんなビジネスマインドを説いた本が、売れている。敵は誰かというと、ほかならぬ「アホ」。『頭に来てもアホとは戦うな!』だ。実はこの本の発売は、今から4年も前の2014年。まずは著者の田村耕太郎さんに、ヒットに時間がかかった理由を聞いてみた。

「もしかしたら日本には、ここ数年でアホが増えているということかもしれません」

 ものすごいバッドニュースのような気がするが、そもそも「アホ」とはどんな人だろう。人の数だけ、その人にとってのアホがいそうだが、例えば田村さんは、こんな人を典型的なアホに挙げる。

「礼儀がなっていないと絡んできたり、何で自分に最初に言わないんだと怒ってきたり。共通の目標を達成するのに、まったく関係ないことで、干渉してくる人とかですよね。周りにもいませんか?」

 いますいます、山ほどいます。そうした輩とは目を合わせてはいけないと知りつつ、うっかりかみつき、人生に何の足しにもならない不毛な戦いを強いられた。そんな苦い思い出があるのは、自分だけではないはずだ。田村さんも言う。

「過去には私も政界の先輩やネットの声に戦いを挑んで、失敗したことがある。同じように苦い過去を持つ人には特に、賛同してもらっています」

 そしてここからが本題。来たるべきAI時代は、読解力不足の若者やコンピューターが「ネオアホ」の主流となりそうな予感。そこで田村さんに、ちょっとアホな疑問をぶつけてみたい。読解力のないネオアホのミスリードを正さなければ、誤解は永遠に誤解のまま。それでも、戦ってはいけませんか? 

「すでにいますね。そういう人。すべてを自分の都合のいいほうに解釈する、自己中心的ポジティブ思考の人ですよね。例えばトランプ大統領が相手と思えば、わかりやすい」

 このタイプの人の、自分ファーストは、簡単には変わらない。まず、その人が自分の目標達成のために必要な人かどうか考える。要らない人ならスルーして、戦わずに離れていくのが得策だという。

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