「今度こそ英語をマスターする!」と何度思ったことか。目指すは「英語カースト」上位者。だが、AIもサービスも格段に進化している。本当に必要なのは実は勉強じゃなくて、それらの「使いこなし術」では?
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東京・吉祥寺。メインストリートから数ブロック奥まった一角に、ひっそりと佇む店舗がある。平日の昼下がりだというのに、10坪足らずの店内はカップルや親子連れでいっぱいだ。ここは2014年創業の新しい時計ブランド、Knot(ノット)。人々が熱心に見つめる先にはメイド・イン・ジャパンの文字盤やベルト、バックルがずらりと並ぶ。これらを自由に組み合わせた「世界に一つだけの時計」を、1万円台からカスタムメイドできることからKnotの人気は高まった。昨秋からは販売先を、世界30カ国に広げた。
世界市場を開拓する上でカギを握るのはECサイトだ。多言語化に取り組むECサイトは多いが、ネックになるのはコストと手間。しかしKnotはテクノロジーの活用で一気にその問題をクリアした。
同社が使うのは、ウェブサイト多言語化サービスWOVN.io(ウ ォーブンドットアイオー)とクラウド型人力翻訳サービスのGengo(ゲンゴ)だ。前者は、簡単な作業で一瞬にしてサイト内のコンテンツを機械翻訳し、多言語化してくれるので、主に商品説明ページで活用している。一方、Gengoは機械ではなく人間による翻訳。ブランドのコンセプトを伝えたいページや、正確性が重要な取扱説明書を訳す時に使っているという。
Knotの営業部でウェブディレクターを務める酒井創史さんによれば、当初はWOVN.ioの機械翻訳のみ利用していたが、英語が堪能なスタッフから、「微妙なニュアンスやブランドの空気感が伝わらない」と指摘された。そこからWOVN.ioと提携するGengoを使うようになった。酒井さんが驚いたのは、そのスピード感だ。