事故から一夜明けた2月6日朝の現場。焼け落ちた家屋を朝日が照らしていた。墜落時、1階にいた長女は敷地内に住む祖母とともに避難した(撮影/編集部・澤田晃宏)
事故から一夜明けた2月6日朝の現場。焼け落ちた家屋を朝日が照らしていた。墜落時、1階にいた長女は敷地内に住む祖母とともに避難した(撮影/編集部・澤田晃宏)
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自衛隊、佐賀県警、消防隊員が夜を徹して墜落したヘリの部品の回収などに動き回った。周辺の民家内からもヘリの破片が見つかった(撮影/編集部・澤田晃宏)
自衛隊、佐賀県警、消防隊員が夜を徹して墜落したヘリの部品の回収などに動き回った。周辺の民家内からもヘリの破片が見つかった(撮影/編集部・澤田晃宏)
墜落した2人乗りの戦闘ヘリコプターAH64D。全長約18メートル、全幅約15メートル。最大時速は約270キロで、陸上自衛隊に13機あった(写真:陸自ホームページから)
墜落した2人乗りの戦闘ヘリコプターAH64D。全長約18メートル、全幅約15メートル。最大時速は約270キロで、陸上自衛隊に13機あった(写真:陸自ホームページから)
墜落した機体は、4枚の羽根を固定する「メインローターヘッド」が飛行中に外れ、制御できなくなった可能性があるとみられている(写真:Getty Images)
墜落した機体は、4枚の羽根を固定する「メインローターヘッド」が飛行中に外れ、制御できなくなった可能性があるとみられている(写真:Getty Images)

 陸自ヘリの乗員2人の命が失われ、民間人を巻き込んだ事故。専門家がありえないという事故は海外でも起きていた。

 佐賀県神埼(かんざき)市で2月5日夕、陸上自衛隊のヘリコプターが住宅街に墜落した。沖縄で最近、米軍機の事故が目立っているが、訓練の練度が高いとされる自衛隊で民間人を巻き込んだ事故が起きたことに、首相官邸や防衛省にも衝撃が走った。

 事故を起こしたヘリは、陸上自衛隊目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)に所属するAH64D戦闘ヘリコプター。もともと米陸軍向けに開発され、アパッチ・ロングボウという名称もある。大ヒット映画「シン・ゴジラ」にも登場したヘリコプターのひとつだ。操縦していた隊員2人が死亡、墜落で住宅2棟が焼け、避難の際に小学5年生の女児(11)が軽傷を負った。

●離陸からわずか7分後

 防衛省によると、事故機は2006年3月から配備。50時間の飛行ごとに実施される定期整備を実施していた。5日午後4時43分、点検飛行で離陸したヘリは、同駐屯地から南西約5キロ付近に墜落した。離陸してからわずか7分後のことだった。飛行計画では、福岡県の久留米市や朝倉市方面を飛行し、駐屯地に戻る計画だった。ヘリから管制官に異常を伝える交信はなかったという。

 翌6日朝、記者が現場を訪ねると、外壁を残して焼け落ちた一軒家が見えた。会社員の川口貴士さん(35)が、妻と2人の子どもと暮らしていた2階建ての住宅で、近隣住民は「まだ新築されて2年くらいしか経っていない」と話した。

 午前7時を過ぎたころ、防災無線が鳴り響いた。

「ヘリコプター事故による部品等を発見した場合は、触らずに神埼警察署に連絡してください」

 川口さんの自宅前には田畑が広がっていた。周辺にはヘリの割れたガラスや金属製部品が散乱している。道路をはさんで墜落現場の向かい側に住む78歳の女性は、墜落の瞬間をこう振り返った。

「飛行機の音には慣れていますが、明らかにいつもとは違ったプロペラ音でした。破片のようなものが落ちてきて、ヘリもほぼ垂直に落ちてきました」

 当時、川口さんの自宅には長女がいた。川口さんと妻、長男は不在だった。川口さんをよく知る人物はこう話した。

「(長女の小5女児は)小学校から帰って、宿題をしているところだった」

 長女は墜落音を聞いて外に飛び出し、同じ敷地内の家に住む川口さんの母親(69)と逃げた。墜落現場から約100メートルの場所には幼稚園や保育園、約300メートル先には市立小学校があった。

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