安倍晋三首相も複数回出演している同番組では、13年に在日韓国人差別を助長する発言があったとして抗議を受け、謝罪したこともある。
何回かゲスト出演し、北方領土問題などに言及したことのある民族派愛国者団体「一水会」の木村三浩代表はこう言う。
「東京で放送しないことを逆手にとり、『地方から中央を包囲する』という戦略で、歯に衣着せぬ議論をする場だった。近頃は情緒的に嫌韓国、嫌中国をあおってばかりという印象ですね。客観的な評価を受ける言論じゃなければ、偏狭なナショナリズムに陥る危険がある」
●教育現場の維新圧力
同番組の制作会社は、「取材すると襲撃される」など虚偽の言説で沖縄の米軍基地反対運動に対するヘイトをあおった「ニュース女子」(東京MXテレビ)も制作しており、両番組の出演者も重複している。
そして、維新の右傾化を象徴する施策が国旗国歌条例(※注2)だろう。
大阪府立高校で理科教員として長く教鞭(きょうべん)を執り、この3月に定年を迎えた梅原聡さん(60)は、この「踏み絵」が原因で、府教委に再任用を拒否された。
きっかけは、3年生の学年主任を務めていた12年3月の卒業式。国歌斉唱時に着席した梅原さんは、府教委から戒告処分を受けた。条例制定で管理職の府教委への報告も厳格化し、処分者が続発。梅原さんは他の6人と一緒に一昨年7月、この処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴していた。
「再任用に当たって、校長に起立斉唱の職務命令に従うかイエス・ノーで答えよと問われ、そのような質問には答えられないと返答したら、不合格になりました」(梅原さん)
再任用は、年金受給開始5年先のばしに伴い、無収入期間が発生しないよう雇用と年金を接続する、生活権の保障のはずだ。
他にも生徒が授業アンケート(※注3)で教員を評価する「ユーザー視点の教育改革」など、維新が「改革」した教育現場に窮屈さを感じたのか、大阪府の公立校教員の志願数は、13年度から2年続けて最低を更新した。