一般人に銃保有の権利を認めている米国でも、その是非は大統領選のたびに争点になってきた。根強い銃規制反対派とは、どんな人たちなのだろうか。
パーン、パーンという乾いた銃声が、青空に響き渡る。体への衝撃もほとんど感じず、約20メートル先の的に10発命中。しかも、借りた22口径のライフルは意外に軽く、価格は120ドル(約1万2千円)程度と値ごろ感さえある。
ニューヨーク・マンハッタンから100キロ北にあるニューヨーク州パインブッシュの射撃場を訪れ、記者は生まれて初めて、ライフルを撃ってみた。きっかけは、米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏の「問題」発言だ。
トランプ氏は8月9日の集会で、「(民主党候補のヒラリー・)クリントン氏は、銃保有の権利を保障する合衆国憲法修正第2条を廃止するつもり」だが、修正第2条を支持する人々が、クリントン氏の当選を阻止するために「できることがあるかもしれない」と発言した。これが、クリントン氏への銃撃をほのめかしたと解釈され、数時間のうちに主要メディアの一部から、「トランプ氏は選挙戦から撤退すべきだ」との声が上がった。
しかし、トランプ氏の支持者である俳優ジョン・ヴォイト氏がただちに、「彼の言葉を曲解するな」と米メディアに反論。トランプ氏が、修正第2条を守ろうという保守派の有権者に熱狂的に支持されていることも改めて浮き彫りになった。
●自衛目的の保有は誇り
銃保有の権利を守ろうとしているのは、どんな人たちなのか。
パインブッシュには、地域のハンター80人でつくる会員制クラブ「ウォーカーバレー・スポーツマン協会」がある。シカやキジなどの狩猟が解禁される9月上旬を前に開かれた月例会をのぞくと、付近に出没している体重250キロのクマを狩猟シーズン解禁の後、仕留めてもいいかどうかなどを手際よく採決し、1時間で終わった。