反安保法制・反アベノミクスでは ◎、選挙協力は△。
では、将来の連立政権は……。“一強多弱”の勢力図を塗り替えるには野党協力が欠かせない。野党研究が専門の吉田徹・北大教授が、3党首の胸の内を探った。(構成/編集部・宮下直之)
※野党3党首が“激論”120分 「安倍政権の暴走を止める」(中)よりつづく
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志位和夫・共産党委員長:民主党政権のことは言いたいことがいろいろありますが、今日はコメントは控えます。ただ安倍政権の経済政策への批判という点では、共有できる部分があると思うんです。
というのは、アベノミクスの本質はトリクルダウンです。つまり、まず大企業に儲けてもらえば、それがいずれは家計に回ってきますよということです。しかし、14年度から今年度の4~6月期、7~9月期にかけて、GDPがマイナスにもかかわらず、大企業の経常利益は過去最高益なんですよ。これは戦後、一度もなかったことなんです。
松野頼久・維新の党代表:企業の内部留保も増えた。
志位:そうです。アベノミクスは、大企業の内部留保を積み増しただけです。その一方で、日本経済全体は低迷が続いている。トリクルダウンが成り立たないということは明瞭になったわけで、ここは政策転換をやる必要がある。具体的には、人間らしい雇用のルールをきちんとつくっていく。これは民主党とも一緒に反対しましたが、労働者派遣法が改悪され、正社員から非正社員への流れが加速している。この流れを逆転させて正社員が当たり前の社会にしていく。それは全体の賃金を押し上げます。最低賃金も思い切って底上げしていく。政治のリーダーシップで、大企業の儲けを社会に還元させていく。アベノミクスを転換するという方向は、話し合えば共有できるんじゃないかと思うんです。
●内部留保に課税せよ
松野:まったく同じ認識です。志位さんはずいぶん柔らかくおっしゃったけれども、僕は法人税減税をするならば、内部留保への課税をセットでやるべきだと考えます。法人税減税で企業の活力は支えるけれども、それは内部留保に回すためじゃなくて、市場に回すためなんだというメッセージを込める。低率でいいので、内部留保に課税するべきというのが僕の持論です。
岡田克也・民主党代表:経済政策でいえば、個々に一致できるものはあると思う。たとえば、法人税を一律で減税しても投資拡大や賃金アップにつながらないことは、過去の安倍政権の結果から実証済みです。それよりも強力な投資減税を行うべきです。ただし「大企業は悪」みたいなね(笑)、そういう発想はちょっと違って、そこまで言わなくていいじゃないかと思いますが……。