アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回は三菱東京UFJ銀行の「ニッポンの課長」を紹介する。
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■三菱東京UFJ銀行 コーポレート情報営業部 ビジネスソリューショングループ調査役 野田浩二(49)
静まりかえった巨大ホールに、1千を超えるテーブルが整然と並ぶ。その間を縫うように、三菱東京UFJ銀行ビジネスソリューショングループの野田浩二が歩く。翌日からパシフィコ横浜(横浜市)で始まる国内最大級の商談会「Business Link 商賣繁盛」の準備に余念がない。
「モノやサービスを売りたい、買いたい企業が、相互に出会うための場です。参加するのは4200社。1万を超える商談が開催されます。このテーブルは全部埋まりますよ」
参加は無料。企業にとっては、飛び込み営業で名刺交換するより、はるかに効率がいい。商談がまとまる確率も高く、新しい有望なビジネスが生まれるかもしれない。
10年前に初めて開催し、これが12回目。27人の部下を率いる野田のチームは、場を提供するだけではなく、商談が円滑に進むようサポートする。ウェブ上に自社の情報や商談内容を打ち込んでもらうアポイントシステムは、毎年更新し、改良を続けてきた。中身には自信がある。
帝京大学経済学部を卒業後、1989年に入行した。四日市支店、新橋支店、三菱総合研究所などを経て、3年前から今の業務を担当している。
そもそも、銀行がなぜ商談会を開く必要があるのか。
商談が成立してからが、銀行の出番。新しいビジネスを始めるために事業資金が必要になったとき、商談会の主催者であれば、「当行をよろしくお願いいたします」と、いの一番に持ちかけることができる。融資や資金調達、コンサルティング……。銀行のできる手伝いは、たくさんあるのだ。
「お金を預かることだけが、銀行の仕事ではありません。ビジネス機会を創出する仕事は、主力の金融部門に次いでニーズが高い。参加企業数は毎年、右肩上がりです」(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・岡本俊浩)
※AERA 2015年3月2日号