ある自営業の業界には、暗黙のルールがある。基本的には自宅で仕事をしているのだが、認可保育園の入園選考のため、取引先の担当者が、その会社に毎日出社しているという勤務証明書を書いてくれるのだ。
自宅勤務の場合、入園選考では外勤と比べて不利になることがある。子どもが入園できず、その自営業者が仕事ができなければ取引先も困るため、偽の書類を作るというわけだ。
多くの自治体で、認可保育園の入園選考は、フルタイム共働きなら「満点」といった、指数(ポイント)制で行われる。
今年4月、取引先に書いてもらった勤務証明書のおかげで第1子(1)を認可保育園に入園させることができた都内の女性(34)は打ち明ける。
「正しく申請したら絶対に入園できなかった。どれだけ働いているかは考慮されず、ポイントだけで判断される。週5日で9~17時のいわゆる“公務員的”な働き方から外れるほどポイントが下がる仕組みは理不尽です」