ジャーナリストの田原総一朗氏は、日産の元会長カルロス・ゴーン氏が批判した日本の司法制度について考える。
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2月2日放送の「激論!クロスファイア」に、弁護士の郷原信郎氏に出演してもらった(収録は1月30日)。郷原氏が、12月29日に関西空港からレバノンに逃亡した日産の前会長カルロス・ゴーンに、昨年11月から12月にかけて5回、計10時間もインタビューし、重大な事実を聞き出していることを知ったからである。
郷原氏がゴーンに最後に会ったのは逃亡の2日前の12月27日で、1月13日にもレバノンにいるゴーンと電話で約30分間話をしているのである。
なぜ、ゴーンにインタビューをしようと思ったのか。何を聞き出したのか。12月27日にゴーンはどんな様子だったのか。まさか逃亡することを告げていた、とは思わないが……。
それにしても郷原氏は、ゴーンの逃亡をどのように受け止めているのか。だが、そのことを確かめる前に、1月8日にゴーンがレバノンでの記者会見で、日本の検察の捜査、そして司法制度を大批判したことについて問うた。森雅子法相や検察の元高官などは、ゴーンの主張はまったくの誤り、デタラメだと強調した。
「まず、警察の取り調べについて、日本は弁護士の立ち会いを認めていませんが、少なくとも先進国でこんな国はありません。韓国でも弁護士が立ち会っています。この点は、ゴーンの批判は正当です」
郷原氏はいささかの力みもなく言った。
──日本の取り調べに弁護士が立ち会えないことは知っていましたが、先進国で日本だけなのですか。ならば、なぜ国会議員もマスメディアも批判しないのだろう。それに弁護士からの批判もないのではないですか。
「日本では警察・検察のやることは正しい、ということになっているのですよ。それに弁護士も弱いというか、圧倒的に数が足りないのです」
そして、郷原氏は「被告が警察の言い分を認めるまで保釈しないのも問題です」とも語った。