さらにはグローバル化やらダイバーシティやらが進み、小倉優子は隣の外国人主婦と洗濯物を干し、菅田将暉・松坂桃李・賀来賢人は男同士で「洗濯愛」を語り合い、鈴木亮平はひたすら楽しそうに「テッペキーン!」と叫びまくる。「金銀パール」の頃には想像もできなかった光景です。生田斗真・桃井かおり・佐々木健介・国枝慎吾(車椅子テニス)といった多様なメンツが「ジェルボール(3D洗剤)」の使いやすさに心躍らせるというCMもありました。白いシャツは「健全な社会」の象徴であり、洗剤のCMは「理想の日常」を映す鏡。そう考えると、まだその中にゲイやオカマが存在する場所は確立されていないのかなと思ったり。
唯一、消臭柔軟剤のCMに出演しているマツコさんとて、立ち位置は「洗濯する主婦」や「男子臭に悩むサラリーマン」を見守る側であり、日常を生きる「当事者」としては描かれていません。小倉優子の向こう隣には、夜中に男物下着とブラジャーを部屋干ししている独り身のオカマが住んでいるかもしれないのに。
※週刊朝日 2019年10月25日号
【週刊朝日編集部からのお知らせ】
いつも『アイドルを性(さが)せ!』をご愛読くださり、ありがとうございます。この連載は2016年5月から週刊朝日で始まりましたが、このたび書籍化して、単行本『熱視線』(本体価格1400円)として発売されました。連載の内容を大幅に加筆修正し、ミッツさんご自身が描いているアイドルの似顔絵(AERA dotでは未掲載)も収載しています。装丁にもこだわりました。毒と愛を込めて作った一冊です。ぜひ、紙の本でじっくり味わってお楽しみください!