前回までに「CO2によって地球が温暖化する説」の間違いと、その説を生み出した犯人が原子力産業であることを述べてきたが、それでも日本人は、科学的な実証より、テレビに出るコメンテイターの「事実、猛暑を体験しているじゃないか!!」という意味不明の乱暴な言葉のほうに流れることぐらいは、小生も承知している。
【表】原発ゼロ時代に電力を供給していたのはどのエネルギー?2014年の「実績」はこちら
そこで、IPCCが気温データを捏造したクライメートゲート・スキャンダル(前回参照)の結果、全世界にどのような認識が広まったかを紹介する。ドイツのシュピーゲル誌(Der Spiegel)2010年3月27日号によれば、同年3月22~24日におこなったドイツ人の意識調査で、「地球温暖化はこわいと思うか?」という質問に、58%が「Nein(ナイン)」(=英語の「NO」=「いいえ」)と回答した。環境保護運動が最も盛んでCO2温暖化説のリーダーだったドイツ人の過半数が、ついにCO2温暖化説を信じなくなったのである。ほぼ同じ時期にアメリカ・ヴァージニア州の大学の調査(George Mason University, Center for Climate Change Communication 2010年3月29日発表)で、同年1~2月にアメリカ気象学会と全米気象協会のテレビ気象予報士にアンケートをとった結果でも、571人の回答者のうち63%が「気候変動の主因はCO2ではなく、自然現象である」と回答し、26%が「地球温暖化論は詐欺の一種である」とまで回答した。
しかし昨年2018年11月のアメリカ西部カリフォルニア州の山火事が、同州の山火事で史上最多の犠牲者を出したことをもって、温暖化が原因だと騒ぎ立てる人間がゾロゾロ出てきたので、こういう現象は解説しておくべきであろう。
山火事というのは、日本で報じられているような温暖化による異常現象ではない。カリフォルニア州は大きな植物帯が存在するので、落雷によって森林火災が起こることは自然現象で、夏に山火事が発生するのは毎年のことだ。2018年は秋に入っても雨が少なく、そこに電力大手「PG&E」社の送電線の火花から山火事が起こったので、例年以上に燃え広がった。近年に人口が増加したカリフォルニア州では、1990年代以降に新たに建てられた住宅の6割が山火事の発生しやすい場所にあるので、そこでの人口が増えて、数字の上で犠牲者が多くなったのである。