女性誌などで取り沙汰される「抱かれたい男」ランキングトップの常連。一世を風靡した「いい男」が、世間から「もう大丈夫です(否定形)」と言われ始めた時、彼らは一様にフツーになる努力をする。それまで万能なモテ超人を演じてきた彼らが選ぶ役柄は、だいたい年相応に疲れた男だ。なりふり構わず奮闘し、カッコ悪くても傷だらけでも懸命に生きる中年男。
だがしかし、今まで全女子に夢を与えるファンタジー世界を生きてきた男に、リアリティーあるフツーっぽさなんてあるわけない。
「頑張ってフツーっぽくしてるよ」という必死さが垣間見えた瞬間が、どうにも居心地悪くなる。
そうして「フツーのおじさん」を演じてみれば、「あ~あ、○○もフツーのおじさんになっちゃったね」なんて言われちゃうんだから、本当に「抱かれたい男」という肩書の難儀さよ。
とりあえず福山にお願いしたいのは、顔芸は香川照之にまかせてあげて。
※週刊朝日 2019年5月17日号