「無責任だ」「人の話を聞け!」と机をたたきながら、ガチンコの激しい論争を繰り広げた前大阪市長の橋下徹氏(49)とジャーナリストの田原総一朗氏(84)。その末に2人が導き出した結論とは?
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田原総一朗(以下、田原):僕は、橋下さんに野党がどうすればいいかを聞きたいの。
橋下徹(以下、橋下):自民党の道と違う逆張りを行けばいい。
田原:今の自民党は供給ばっかり増やし、需要を伸ばしてない。なんで自民党は需要を伸ばそうとしない?
橋下:需要なんて政治で伸ばせません。政治家に経済を発展させるような能力はないんです。
田原:でも、安倍さんは経済成長させるって言ってる。うそをついているわけね?
橋下:いや、うそじゃなく、自分たちの能力を過信しすぎ。民間が自由に経済活動ができる環境を整えるまでが政治の役割です。
田原:安倍政権は実質GDP成長率を2%にすると言っているが、できっこない。
橋下:僕ならば、自民党と違う道を提示する。
田原:どういう道?
橋下:違う選択肢を有権者に与えるのが野党の役目です。そして有権者が迷いながらも選択をしながら、与野党が政策を修正し、正しい道に近づいていく。自民党は、行政による需給調整で民間の競争を避ける政治が柱なんだから、もう一つの選択肢は徹底的に民間を競争させる方向性しかない。
田原:そんなこと、今の野党にできるわけない。
橋下:競争というと、新自由主義や弱者切り捨てとメディアに批判されるのでビビっているんです。
田原:僕は小泉(純一郎)さんの痛みを伴う構造改革で、日本の競争力を強められると言ったよ。
橋下:しかし、それだけじゃ、国民はついてこない。やっぱりバラマキも必要でそれが所得の再分配です。競争とバラマキをワンセットでやればいいんです。
田原:野党はそんな気持ちもないし、意欲もない。
橋下:自民党は一言で言えば、古き良き日本というものを絶対視する。そうであれば、野党はもう一つの選択肢として、未来志向の日本というものをどんどん打ち出していく。同性婚、事実婚、夫婦別姓などでも、昔ながらの家族観に縛られない新しい選択肢を示していく。
田原:結婚しなくても子どもを産めば、ちゃんと政府が保障しろってこと?
橋下:法律婚と同様の税の特典とかを与えろ、と。
田原:僕は言っている。
橋下:それから安倍さんの安全保障政策は日本の欠陥についての重要な問題提起なのに、どのメディアも政治批評家も反対ばかりして持論を示さない。
田原:非常に難しい……。