ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は筆者が体験したファンとの交流について。
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2018年になりました。平成30年です。私の女装歴も21年目に突入ということで、本年もよろしくお願いいたします。
先日、コンビニのセルフ電子レンジコーナーでスープを温めていたら、あと2秒で出来上がりというところで待ち構えていたように女性から「握手してください」と声をかけられました。大変ありがたいことには変わりないのですが、その女性が背後でずっとタイミングを見計らっているのは感付いていたので、まさかの『2秒前』に「わざとかしら?」と怪訝な顔をしてしまった次第です。あのように思い詰めた風の「握手してください」は、タイミングひとつでこちらのテンションをガタ落ちさせる可能性があるので、是非とも今年も声をかけてくださる方々におかれましては、ただでさえ愛想の悪い私に対しては、どうかひとつお気遣いのほどお願いいたします。
新年の無礼講ということで、今日はいろいろ皆さんにお願いをしたいと思います。握手に関しては、両手がかなりの荷物で塞がっている時など、それでも手を差し出して待っている人がいますが、一瞬ちょっと睨むかもしれませんのでお留めおきください。あと、私は新幹線や飛行機などの交通機関の中、コンビニやデパートなどの店内では写真撮影には応じない主義なので悪しからず。道端や街角、駅や空港などでは、できる限りお応えしようと思っていますが、セルフィーでツーショットをご希望される方に、是非ともお守り頂きたいことがあります。スマホを下から煽るようにして撮らないでください。ほとんどの場合、私は皆さんよりデカいんです。下からのアングルは間違いなく不細工かつ太って写ります。できれば私の視線の高さ、もしくはもっと上から撮って頂ければ、あなたも私も笑顔で収まることができます。相手の視点に立ってみるというのは大事なことです。