アジアを飛び回って活躍する国際派俳優、ディーン・フジオカさん。作家・林真理子さんと対談しました。
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林:私は「あさが来た」でディーンさんを見て、「こ、この人、誰?」と衝撃を受けて、私だけじゃなく、日本の女性はみんな朝からキャーキャー言ってましたが、ご自身はこんなに人気者になると思ってました?
ディーン:そもそも日本で仕事をする機会はないだろうなとずっと思ってたんですよ。今は日本での仕事がだいぶ日常的な感覚になってきましたけど、3、4年前ぐらいまでは、日本には仕事があるときだけいましたし、その前は日本で仕事をするイメージがまったくなかったですね。日本では一生仕事をしないだろうなと思い込んでいたので。
林:「僕みたいな変わり者は、日本では受け入れられないだろう」ってどこかでおっしゃってましたね。日本をベースにするなんてあり得ないという感じだったんですか。
ディーン:そうですね。たとえば国際映画祭などで、日本から来ている監督とか出演者の方とかに、同じ日本語をしゃべる者同士として紹介されるじゃないですか。そのとき、僕は海外で仕事をしていて、日本でのリザルト(実績)がないので、日本の芸能界の“査定基準”にのらないんだという印象を受けましたね。今はだいぶ変わったと思いますけど。
林:そうなんですか。
ディーン:その前に至っては、日本に住むという選択をしてない人は、エントリーさえできないという感覚だったと思うんですよ。ハリウッド映画で主演をしたとかいうなら、また別の話ですけどね。自分の実力のなさも含めて、日本で自分のキャリアが発展していくビジョンはありませんでした。中華圏で頑張っていたら、北米とかヨーロッパの作品につながっていく可能性が見えたけど、日本というのは、独自の文化と習慣とルールにのっとってやっている一つの独立したマーケットみたいに見えたんです。外から見ていると。