「詐欺」なのか、それとも「国策捜査」か……。
大阪府の塚本幼稚園は6月19日夜、騒然とした雰囲気に包まれた。
国有地が激安で払い下げられた小学校建設に安倍首相夫妻が“関与”したと国会で暴露した“籠池砲”は、2月から安倍政権を揺るがし続けた。
だが、大阪府から補助金を不正に受給した補助金適正化法違反などの容疑で、森友学園の関係先数カ所を大阪地検が捜索、ついに強制捜査に乗り出した。
筆者は森友学園の小学校開校にあたっての「寄付者リスト」を入手した。
約500人が寄付者の氏名、住所、電話番号、寄付日、金額などがリストに記されていたが、そこには籠池泰典前理事長と親しく、系列幼稚園で講演したこともある平沼赳夫衆院議員の名前もあり、平成26年4月25日に5万円を寄付と記されていた。
さらに籠池氏が国会で証言した安倍晋三首相に代わり、昭恵夫人が手渡したとされる100万円(安倍夫妻は否定)も平成27年9月7日付で「森友学園」名義の寄付として記されていた。
だがこのリストに記載されている寄付総額は、約5000万円。森友学園は大阪府や近畿財務局には3億円近い寄付が集まる予定と説明しており、その金額とは程遠いものだった。
「小学校開校していれば、どうやりくりしたのでしょうか」(大阪府の関係者)
一方、籠池氏は強制捜査が近づく心境について「国家ぐるみで私を悪者にしたいのだから、もう仕方ない」とあきらめの境地を語った。
籠池氏をめぐり、特捜部は学園が運営する幼稚園の教員数などに応じて府から支払われる補助金を不正受給したとする詐欺容疑、小学校建設をめぐり国の補助金を不正に受給した補助金適正化法違反容疑の告発をそれぞれ受理。
府によると、幼稚園では教員の人数に伴い支給される補助金や、身体障害などで支援が必要な園児数に応じて支払われる補助金の計約6200万円を受給した折、虚偽の申告をしていた疑いがある。