▼問題解決力:2.5点
小池都政について多くの関係者が首を傾げるのは「着地点」の不確かさだ。自民党都連最高顧問の深谷隆司元衆院議員はこう語る。
「いろいろな問題にメスを入れたが、かえって混乱を招いている。豊洲市場の開場は1日延びるごとに補償の負担が増えていくが、どんな状態なら開場できるかを一向に示さない。ボート会場も長沼の視察で宮城県をあれだけ喜ばせてしまって、結局、東京で開催となった時にどうするのか。問題提起だけなら野党にもできるが、答えを出すのは簡単ではありませんよ」
中でも最難関となりそうなのは、豊洲市場への移転問題だ。移転中止を求める声も続出するが、都職員OBで地方自治に詳しい中央大学の佐々木信夫教授はこう指摘する。
「築地など11の市場を運営する東京都中央卸売市場は都の中でも独立した公営企業会計。豊洲新市場の建設は約5900億円をつぎ込んだプロジェクトですが、市場から毎年あがる収入は200億円程度にすぎず、不足分のうち大部分は築地市場の跡地を売却した代金でまかなうことになっている。仮に移転中止となれば他に収入源はなく、市場の経営は実質、破綻(はたん)してしまう恐れがあります」
小池氏はどう答えを出すのか。一方、特別顧問など外部有識者を集めた「都政改革本部」に首を傾げる声も続出した。民進党の斉藤あつし都議がこう語る。
「改革本部の立ち位置や重さがわからない。五輪施設の問題で、本部が出した結論を小池知事がバッハ会長に渡したという話があるが、バッハ会長に直接渡す前に関係部局などで検証すべきこともあるはずで、順番が違うのではないか」
ある都政ウォッチャーもこう指摘する。
「改革本部を統括する慶応大の上山信一教授は特に都職員の反感を買っている。役人の言うことは聞かないし、上司の小池さんに怒られるのならいいが、顧問に上から目線で言われたくないということのようです。上山氏が橋下徹氏の元でぶち上げた大阪都構想は失敗している。小池氏の命とりとなる可能性がある」
小池氏が結論を出すのはこれからだが、どうも雲行きが怪しい。ここは辛めに「2.5点」とした。