「永さんから一回も食事をご馳走になったことがない。一度だけ、私が鹿児島で舞台をしていた時に永さんがお昼過ぎに来て、『食事しようか』と言うから『行く行く』と喜んだら、ネギ飯という、ご飯に刻んだネギをのせてラーメンスープをかけたものでした。私がもっとおいしいもの食べたかったと言うと、『こんなにうまいものはない』と叱られた」
黒柳さんはその後で、
「永さんのいない世の中なんてつまらないと思っています。近いうちにお会いできると思っていますので、じゃあまたその時に」
予定時間を大幅にオーバー、鎌田實さん、久米宏さん、中山千夏さん、小林亜星さんら友人が次々に「巻き気味に」挨拶。最後にジェリー藤尾さんが永さん作詞の「遠くへ行きたい」を熱唱して会は終わった。
参列者へのお別れの品は、藍の染め物に永さんの書があしらわれたもの。
「生きているということは誰かに借りをつくること 生きてゆくということはその借りを返してゆくこと」
永さんらしい人生の幕引きだった。(本誌・山本朋史)
※週刊朝日 2016年9月16日号