──別のレコード会社から無事に発売されたわけですが、怒ってましたか?
アサミ:そりゃあもう、あのころはステージのMCでも怒ってましたね。
三宅:ラジオ番組でも「頭にきた」的なことを言ってました。
片岡:訳詩の許諾も下り、発売日も決まっていたのに、何がダメなんだって話ですよね。普段はいたって穏やかな人、ギリギリまでためてから爆発する、そんな面もありましたね。
アサミ:そういえば、ボスの家族と一緒に山梨の温泉に行ったとき。私は助手席に乗ってたんですけど、帰り道に塩山の駅前で降ろされて、「じゃアサミ君は電車で帰りたまえ!」って置き去りにされたことがあって。
三宅:ひどい(笑)。
アサミ:後でイシイさん(奥さん)に聞いたら、私が助手席でおせんべいを食い散らかしたり、山道で酔って吐いてポルシェをちょろっと汚したりしたことに、ボスは相当ムカついてたらしく。2泊3日ニコニコしてたのに最後にズドン。それはともかく(笑)、ボスの場合、怒りが歌になることは多いですね。
──「カバーズ」でためこんだ怒りがタイマーズでの活動につながっていくわけですね。ステージで土木作業員のような格好をし、強烈な社会風刺を歌う。
三宅:ラジオ番組の放送の合間に、僕が持ち込んだ歌本を見ながら(米国の)ザ・モンキーズの曲を歌ったりして。そこからですね。ある夜、ボスから送られてきたファクスに「タイマーズ」って書いてありました。名前は(GSの)タイガースのパロディーです。
片岡:楽屋はRCのときとは違った興奮状態でしたね。新聞を広げて、歌にできるニュースを探したり、ガラの悪い言葉遣いで話したり。
三宅:いつも叫びながらステージに向かうんです。学園祭では、実行委員の女の子がびっくりしてた。地下足袋を履くあたりからスイッチが入るんですよ。
──ステージが終わったときは「やってやったぜ!」みたいな感じ?
三宅:まさにそれです!
片岡:興奮した様子で、「やったな!」と。
アサミ:後でビデオを見て、自分のことを「この人すごいな」「すごいだろ、俺なんだけどネ」とか、何度も絶賛して(笑)。
──89年、テレビの生放送で、リハーサルと全く違う、しかも放送禁止用語満載の曲を歌って話題になりましたね。