Miles Davis: The Complete Illustrated History
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またしてもマイルス豪華本が登場
Miles Davis : The Complete Illustrated History
(Voyageur Press)

 最近の当コーナーについて少々補足説明しておきたいと思います。当初このコーナーはマイルスの新音源だけを紹介することを目的にしていました。ところが最近は新音源の点数が減少し、いわゆる大ネタも少なくなってきました。もう主要な音源は出ちゃいましたよということなのでしょう。それでも先般のフィルモア音源などの超ド級アイテムもないわけではないのですが、絶対数は激減しました。そこで当コーナーは「これではいかん!」と、マイルスの新音源が途絶えたときは、マイルスと共演歴のある関連ミュージシャンの新音源を紹介するというワイドな方向へと舵を切りました。おかげさまで、これはこれで好評をいただき、この路線は今後も継続していきたいと考えています。

 次に、数週間前のことですが、レコード・ストア・デイの限定LPレコードを紹介したところ、「うっかり買い洩らすところだった!」「某店で最後の何枚かを入手できました!」などなど多くの声をいただきました(どうもありがとうございます)。そこで当コーナーでは、さらに路線を拡張拡大して、アナログ・レコードのマニアックな情報もお伝えしようと思い立ちました。どうやらヴァラエティをもたせたほうが好評なようでして、それに味をしめて、マイルス関連新刊書もいち早くご紹介することになりました。ただし現時点ではワタクシの手元に現物はきていません。なので書評ではなく、出版情報として受け取ってください。刊行後の書評に関しては、別のコーナーで取り上げたいと思います。以上のようなわけでして、「マイルスを聴け」「マイルスを知れ」「マイルスを読め」とか、もういろいろややこしいことに陥っている当コーナーでございます。

 前置きが長くなってしまいました。今回の新刊は『Miles Davis : The Complete Illustrated History』(Voyageur Press)です。最初に補足説明を加えさせていただきますが、「イラストレイテッド」とは日本でいうイラストレーションのことではなく「写真・画像」といった意味で使われています。なにしろ現物未確認なのでなんともいえませんが、おそらく写真集に短い文章が寄せられた、オシャレなデザインの豪華本ではないかと想像されます。刊行日は11月17日となっています。

 出版社が公表した概要によれば、写真点数は約300点、そしてコメントや短文を寄せているのが、ソニー・ロリンズ、ビル・コスビー、ジョージ・ウィーン、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、クラーク・テリー、レニー・ホワイト、デイヴ・リーブマン、フランシス・デイヴィス、グレッグ・テイト等々、いつもと同じような顔ぶれですが、マイルス遺産相続ビジネスマンことヴィンセント・ウィルバーンとエリン・デイヴィスの名前が見当たらないことにホッとします。その意味からも、たぶんそれなりのクオリティをもった内容の豪華本と思われます。監修はアシュリー・カーンです。表紙も正攻法ですしね。期待して待ちましょう。それではまた。

"Miles Davis : The Complete Illustrated History” is Written by an all-star team, including Sonny Rollins, Bill Cosby, Herbie Hancock, Ron Carter, Clark Terry, Lenny White, Greg Tate, Ashley Kahn, Robin D. G. Kelley, Francis Davis, George Wein, Vincent Bessieres, Gerald Early, Nate Chinen, Nalini Jones, Dave Liebman, Garth Cartwright, and more.

Voyageur Press 2012

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