TPP(環太平洋経済連携協定)交渉をめぐって、自民党が守るべき「聖域」として掲げる農産物の「重要5項目」の先行きが怪しくなってきている。「聖域」のコメで関税がゼロになれば、日本のコメ農家は大打撃を受けることになりそうだ。日本の食卓はどのように変わるのだろうか。
実は、すでに変化の「兆し」が出始めている。昨年、東日本大震災による原発事故の影響で国産米の価格が上昇した。これに対して、小売業界が敏感に反応したのだ。スーパーの西友は昨年には中国産米を、今年1月にも関東地方と静岡県の一部の店舗で、豪州産米を売り出した。
「安い国産米が少なかったので、外国産米の販売を始めました。豪州産は順調に売れ、7月には完売しました」(広報室)
西友は、国産米と外国産米を食べ比べ、外国産米でも品質面で十分対抗できると判断したとしている。
ディスカウントストアのドン・キホーテも10月、関東地方の一部の店舗で、米カリフォルニア州で生産されたコシヒカリを売り出している。
「品質や安全性を確かめたうえで、米国産を商品のラインアップに入れました」(広報担当)
いずれの外国産米も国産米に比べて、かなり格安になっている。10月18日に調べたドン・キホーテ新宿店では、国産のコシヒカリ(10キロ)は3780円だった。それに対して、米国産のコシヒカリ(同)は2380円と、国産米より3割以上も安い。安価な国産のブレンド米と比べても、価格の差は、ほとんどなかった。
※週刊朝日 2013年11月8日号