社員に思いをはせ涙する前澤友作氏(撮影/今村拓馬)
社員に思いをはせ涙する前澤友作氏(撮影/今村拓馬)
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   ZOZOの前澤友作社長(43)が12日、社長を退任した。ZOZOはソフトバンク参加のヤフーの子会社となる。前澤氏の後任には、澤田宏太郎取締役(48)が就任、前澤氏は12日夕に東京都内で記者会見を開催した。

(1)(2)(3)に引き続き、前澤氏のコメント全文を掲載する。

*  *  *
――前澤さんの借金について伺いたい。そもそも何に使ったのか。ヤフーへの売却と関係があるのか。

前澤:みなさんも大きなものを買うときに借金、ローンを組まれると思うんですけど、それと一緒です。ゼロが何個か違うだけです。

 私が買っているものは宇宙への渡航チケットなどに多額の出費をしてまいりました。宇宙への渡航は現物資産として残らないものですけど、それによって得る体験、それによって得る人脈、これはかけがえのないもので、無形資産ですけど、もしかしたらかけた以上の投資効果があるのではないかと。

 現代アートについては、買ったものがさらに価値が上がっているような状況で、同じく、そういった意味で自分も人にもご迷惑をおかけしない範囲で一定量の借金、融資を受け、自分の人生の体験を膨らませていくというのは、ごくごくまっとうな考えではないかと思っています。その借金は現物資産であるアートを売却して返せばいいだけです。

 ですから今回のヤフー社とZOZO社の業務提携と、僕の借金とは何ら関係はありません。借金に首が回らなくなって、今回急いで資本業務提携したのではないかという憶測は本当に憶測にすぎず、まったく事実と異なりますので、この場をもって強く「違うぞ」と言わせてください。

――ZOZOへの愛着もあると思うが、社長を退いての心境は。

前澤:悩みまくりました。一部では「無責任じゃないか」「放り投げているのではないか」という意見もネットに書かれたりしています。ただ僕は、無責任というのはこういうことなんじゃないかと思っていて。自分の地位や権力に甘んじてそこにあぐらをかいて、本当に一番大事な事業の拡大や、会社の成長を見過ごし、保守的に自分を守るような経営。それが無責任な経営ではないかとずっと思っていました。

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初めて感じた孤独感