聖徳太子を例にとると、かつては「十七条の憲法」「冠位十二階」「遣隋使の派遣」などは、聖徳太子ひとりの業績とされていた。しかし、今日では研究が進み、実際には推古天皇と「厩戸王」(後の聖徳太子)、大臣の蘇我馬子の三者が中心となってこれらを実現したという見方が、広く受け入れられている。

 今回の改訂案については、3月31日の文部科学省の告示で、聖徳太子などの表記を元に戻してしまった。歴史教科書の記述は、本来は歴史学の最新の研究成果に基づくものでなければならない。とても残念な結果になってしまった。(解説/文教大学生涯学習センター講師・早川明夫)

【キーワード:学習指導要領】
文部科学省が小・中学校・高校の各段階で教えるべき最低限の内容などを決めた基準。年間の授業時間も定め、教科書編集の基準にもなる。約10年ごとに改訂している。新学習指導要領は、小学校では2020年4月から、中学校では21年4月から全面実施される。

※月刊ジュニアエラ 2017年7月号より

ジュニアエラ 2017年 07 月号 [雑誌]

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早川明夫
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