■繰り返し起こった衝突
イスラエルの研究チームは、ジャイアント・インパクト説の弱点とされるこの矛盾を克服しようと、衝突する惑星の大きさや、地球に衝突する速度、角度、回数などをさまざまに条件を変えてコンピューター・シミュレーションを行った。その結果、ほぼ地球由来の物質だけで月ができるためには、原始惑星が時間をおいて20回ほど原始地球に衝突することが必要だという結論を導き出した。
それによると、月は左上の図のような経過をたどってできたのだという。まだ説明が十分とはいえないが、なかなかおもしろい説だ。月は地球にいちばん近い天体といっても、たくさんの謎に包まれている。各国による今後の月面探査に期待が高まるが、近いところでは中国が今年、月面に軟着陸し岩石などを採取し、地球に持ち帰るミッションを予定している。アポロ以来四十数年ぶりに持ち帰る月の岩石によって、月がどのようにしてできたのか、より確かなことがわかるかもしれない。
【キーワード】
<アポロ計画>
1961年から72年にかけて実施された、アメリカによる月への有人宇宙飛行計画。69~72年に計6回、宇宙飛行士が月面に降り立ち、活動した後、地球に帰還した。
※月刊ジュニアエラ 2017年4月号より
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