特徴は、プロペラの向きを変えられること。上に向ければヘリコプターのように飛んで小さな船の上や滑走路のない島にでも離着陸できるし、前に向ければ飛行機のようになって速度が上がり、ヘリの倍近い時速約500キロメートルで飛べる。

 飛べる距離もヘリより格段に長い。オスプレイの配備前に普天間基地にあった旧型のヘリと比べると、5倍を超す約3900キロメートルにもなる。沖縄を拠点に、タイやオーストラリアでの訓練に参加したり、ネパールの地震の救援に行ったりもした。

 日本国内でも、13年10月に滋賀県であった自衛隊との訓練にオスプレイが初参加。その後も、14年7月に、神奈川県、静岡県、東京都、北海道に初めて飛来するなど、日本中を飛んでいる。昨年は、熊本地震で、救援物資を運んだ。

 米軍は、今後さらに、今年から21年にかけて横田基地(東京都)に計10機を配備。また、陸上自衛隊も17機を購入し、佐賀空港に配備する予定で、18年度から納入が始まる。沖縄県の尖閣諸島など離島を守る部隊が主に使う計画だ。日米両方のオスプレイの整備は、陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県)で行うことになった。

 オスプレイは開発段階で4機が墜落して、30人が死亡したことから、安全性が問題になった。実用段階に入っても、12年4月にモロッコ、同じ年の6月にも米・フロリダで墜落、15年5月には米・ハワイで着陸失敗の事故が起きた。

 沖縄への配備時に日本の防衛省がまとめた資料では、今回事故を起こした米海兵隊用の「MV22」というタイプのオスプレイは、03年10月~12年4月の事故率が1.93。海兵隊の航空機全体の平均は2.45なので、オスプレイは安全だと説明している。ただ、その後の事故で、15年9月末時点では2.64に上がった。

 みんなの上を飛ぶ航空機が本当に安全なのか。米軍任せではなくて、日本政府や国会が確認を続けていく必要があるだろう。(解説/朝日新聞社社会部・福井悠介)

【キーワード:日米地位協定】
 日本国内での米軍の権限を定めた協定で、1960年に結ばれた。米軍関係の事件・事故の際、基地の外でも、米軍に警察権を認めている。今回の事故では、沖縄県の翁長雄志知事が、この協定の下で、日本側が事故を捜査したり、原因究明に当たったりすることができないことを批判。協定を見直すように求めた。

※月刊ジュニアエラ 2017年3月号より

ジュニアエラ 2017年 03 月号 [雑誌]

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福井悠介
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