小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「プリンス堀潤のそもそもキーワード」。今回は「北方領土」について一緒に考えます。
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すぐ目の前に見えているのに、ぼくたちが簡単には渡ることのできない日本の<島>があるのを、みなさんは知っていますか? 北海道本島の北東側に位置する四つの島、択捉島・国後島・歯舞群島・色丹島。通称「北方領土」と呼ばれる日本の島々です。
古くからアイヌ民族のみなさんが文化を育んできたこの地に、日本本土が深い関わりを持つようになったのは江戸時代。多くの人々がここで漁業や商売などをして暮らしてきました。ところが現在は、ロシアから移り住んだ人々に島が管理され、海沿いにはロシア国境警備隊のレーダー施設が建設されています。日本人は一人も住んでおらず、特別に許可された人たち以外、この島を訪れることもできません。
「日本の領土なのに、なぜロシアの人々が暮らしているの?」と不思議に思う人もいるかもしれません。北方領土が目と鼻の先に見える北海道根室市を訪ねると、街のあちこちに「返せ!北方領土」という看板が立っています。この70年、日本とロシアの双方が「北方領土は自分たちの領土だ」と主張し、解決されないまま話し合いが続けられてきたのです。
今から160年以上前、日本とロシアは「日露和親条約」を結び、お互いの国境を確認しあう約束を交わしました。当時、択捉島とウルップ島の間に自然に形成されていた国境をそのまま確認し、北方4島は日本の領土、択捉島より北に位置する千島列島はロシアの領土としました。それ以降も北方4島が外国の領土となったことはありません。
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