事態が大きく変わるのが、第2次世界大戦末期の1945年8月9日。ソ連(現在のロシアなど)が日本との「中立条約」を破って、攻撃を開始。日本は広島と長崎に原子爆弾を投下され、同月15日に「降伏」しますが、ソ連は北方領土への侵攻を続け、9月5日までに4島をすべて不法に占領してしまうのです。

 その後、日本とソ連は、戦争を終わらせて領土問題などを解決する「平和条約」を結ぶため話し合いを行いましたが、歯舞・色丹の2島は返してもよいとするソ連と、4島すべてを返してほしいと主張する日本との間で条件が折り合わず、56年に「日ソ共同宣言」で戦争状態を終了し、国交を回復した後も、この問題は解決されずにいました。

 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と平和条約を結ぶ話し合いを進めると決めたと報道されてから、期待が高まった北方領土問題の解決ですが、12月の日ロ首脳会談では全く進展がみられないどころか、事態が後退した感もありました。北方領土は誰のものか、戦後70年以上が経ち、新たな平和の形が模索されています。(ジャーナリスト・堀潤)

※月刊ジュニアエラ 2017年1月号より

ジュニアエラ 2017年 01 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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