政府は9月、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を廃炉にする方向で見直すと発表した。日本の原子力政策が大きく変わることになる。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・竹内敬二さんの解説を紹介しよう。

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 もんじゅは高速増殖炉という種類の原子力発電所(原発)だ。一般の原発の燃料はウランだが、高速増殖炉の燃料は主にプルトニウム。「高速」は炉の中で飛び回る中性子の速度が速いことを意味し(一般の原発の中性子は低速)、「増殖」はプルトニウムが増えることをいう。

 高速増殖炉は、燃料のプルトニウムが運転中に増えることから「夢の原子炉」と呼ばれてきた。

 原発後進国だった日本は、戦後、アメリカやイギリスから原発の技術を導入する一方、「高速増殖炉は国産技術でつくろう」という目標を掲げた。新型炉なので(1)実験炉(常陽)、(2)原型炉(もんじゅ)、(3)実証炉、(4)実用炉の4段階を踏んで、着実に開発することにした。

 もんじゅは2段階目の原型炉で、1994年に運転を開始したが、トラブルなどが相次ぎ、20年以上ほとんど動かすことができなかった。そのもんじゅを、9月、政府は「廃炉を含め抜本的な見直しをする」と発表した。今後二度と動かず、廃炉になる可能性が高い。高速増殖炉で21世紀のエネルギー問題を解決するという日本の夢が崩れた。

 しかし、世界的に見れば、多くの国がもっと早く高速増殖炉の開発をやめている。アメリカ、ドイツ、イギリスは90年代前半にやめた。プルトニウムを燃やす高速増殖炉は、ウランを燃やす一般の原発より発電コストが高いこと、核兵器の材料にもなるプルトニウムの扱いに多くの問題が発生することが常識になったからだ。今のところ、実用化に成功した高速増殖炉は世界のどこにもない。

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AERA dot.編集部
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