私立小学校に入学するためには、受験の関門をクリアしなければなりません。“お受験”とどう向き合えばいいのか? AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2017』で、専門家に聞きました。かつては大学までエスカレーター式に進学できるのが私立小学校の魅力と考えられていましたが、近年は変わってきているようです。
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2016年に志願者数を増やした小学校をみると、外部の中学受験を応援する学校が多い。なかでも有名中学への合格実績がある小学校が人気のようだ。
たとえば宝仙学園は、系列校はあるものの全員が中学受験をする。進学指導やオリジナル教材による少人数教育で高い実績を上げ続けている。
目黒星美学園は、中学以降が女子校となるため男子は全員が外部受験する。5年生から男女別クラスに分かれ、男子は受験に向けた態勢へ移行する。他にも、首都圏では洗足学園、新渡戸文化、星美学園、東京都市大学付属、淑徳などが、関西圏では追手門学院や城星学園などが、中学受験を積極的にサポートしている。
こうした学校が人気を集めている理由について、専門サイト「お受験じょうほう」を運営するバレクセル代表の野倉学さんは次のように語る。
「社会がどんどん変化するなか、親は子どもの可能性を伸ばし続け、選択肢を与え続けられる環境を求めるようになりました。その結果、こうした中学受験に強い小学校が選択肢に入るようになったのだと思います」
中学受験重視の小学校は、国立小の併願校として選ばれている側面もある。たとえば約4000人が受験する筑波大附属は倍率30倍の狭き門だ。「抽選もあるので能力があっても入学できるとは限りません。そのため、その先の中学受験で可能性を広げられるような小学校を併願するのではないでしょうか」(野倉さん)
有名私立校を目指す層でも同様の傾向があるようだ。幼児教室伸芽会の飯田道郎さんは言う。
「早稲田、慶應なども倍率が高く、受かる保証がありません。中学受験で再チャレンジできるよう、進学力の高い学校を併願する人も多いです」
中学受験に強い小学校であっても、基本的には塾通いが必要だ。それでも、
「全員が中学受験するので、一緒に頑張ろうという雰囲気になりますし、先生も熱心なので、いい結果につながるのだと思います」(野倉さん)
中学受験に強い学校の多くは、ホームページに進学先を掲載している。
「ただ、一学年の人数が少なめということもあり、年度ごとに合格実績のばらつきは出やすいです」(飯田さん)
学校選びの際には、数年単位で進学実績を見たり、説明会等で学校の方針や取り組みを聞いたりして、総合的に判断するようにしたい。(松岡亜希)
※「英語に強くなる小学校選び2017」より抜粋